【腹部エコー】症例3 膵・胆管合流異常?ではなく…

こんばんは。sonoです。
エコーで同定できなかった膵・胆管合流異常の症例です。
患者さんご自身が昔CTを撮って、たまたま膵胆管合流異常が見つかったこと、心配だから定期検査でエコーをしたいということで、当院でエコーのオーダーが出ました。
膵・胆管合流異常とは
膵・胆管合流異常は先天性の奇形で、膵管と胆管が十二指腸の壁外で合流するものです。
十二指腸壁のオッディの括約筋の作用が及ばないので、膵液と胆汁が相互に逆流して炎症とか結石とか悪性腫瘍などを引き起こしてしまう病気です。
膵・胆管合流異常には、胆管拡張型と胆管非拡張型があって、胆管拡張型の方が頻度は高いみたいです。
胆管拡張型の膵・胆管合流異常はこんな感じ↓

胆管非拡張型の膵・胆管合流異常はこんな感じ↓

エコーで胆管拡張を見つけたら、拡張の原因を探りに行くと思うのだけれど、
結石でもなく腫瘍でもない場合は、胆管拡張型の膵・胆管合流異常を疑っても良いと思います。
本当に膵・胆管合流異常?
で、今回の症例のエコー像はというと…


総胆管は最大8mmほどで、その抹消側は緩やかに細くなっていきます。
この場合、総胆管(CBD)拡張(+)ととりますか??
境界域として良いのでしょうか?
CBDをファーター乳頭近くまで観察しましたが明らかな閉塞起点は分からず…、
また主膵管(PD)との合流部もエコー上、はっきりと描出できませんでした。どう頑張っても、CBDも主膵管(PD)も十二指腸開口部付近までそれぞれ単独で追えてしまう。
膵・胆管合流異常は、CBDとPDが合流してファーター乳頭に開口するまでの管(共通管)があるはずなのだけれど、どう頑張ってみても、共通管は見つからなかった…泣


膵管(PD)もいつものエコー時よりもはっきりと描出されるので、膵管軽度拡張(+)にしたいところですが、膵体部でのMPD径は2.7mm程なので、基準範囲内ではある…。
こんな時の所見にはみなさん、どのように記載されているのでしょうか?
膵管の走行はスムーズです。
副膵管も、普段は見えないものが見えている時点で、軽度拡張(+)にしたいところですが、計測すると1.7mmくらいなので、拡張とは取れませんよね…?
という、「本当に膵・胆管合流異常なんですか?」と疑問が残る所見でした。
ちなみに、膵液の逆流による胆管・胆嚢の炎症が起きている場合、胆嚢壁は低エコー層のびまん性肥厚を認めることもあります。
なので、食後でもないのに、胆嚢壁の低エコー層のびまん性肥厚がある場合も、合流異常を念頭に置いて検査すると良いと思います。
合流異常がある場合、胆嚢癌や胆管癌、炎症のリスクが高くなるので、オペ適応ということで、また別の病院に紹介されました。
患者さん自身は、10年以上前から合流異常について知っていて、オペをせずに自ら定期検査を受けに来ている人なので、さらに他院に送るってどうなんでしょう…。
手術を望んでいない患者さんなんだったら、当院で経過追わせてくれたら良いのに…。
先生、定期検査したいんですけど…!って心の中で思ってましまった^^;
膵管癒合不全
この症例は、全然納得出来なかったので、もう一度、患者さんのカルテを探ってみました。
そしたら、昔のCT所見で、膵・胆管合流異常と書いているけれど、「主膵管が小十二指腸乳頭に開口している」って書いているではありませんか!?
えー!!!
あんなに悩んだのに、結局膵・胆管合流異常じゃなかったのです…。
「主膵管が小十二指腸乳頭に開口」ってことは…膵管癒合不全かも。
ちょっと調べたので、続きはこちらで。↓